生 物 実 験 編

はじめに


 本マニュアルは、生物実験、特に動物や植物等を用いる学生実験・実習の手引書として作成したものです。実験・実習の前にどうぞ熟読して下さい。初版は1991年3月に作成したものですが、今回、大学の独立行政法人化に伴い、急きょ見直しをしました。初版からすると、社会通念や認識が変革した部分が有るし、関連法規の改定・追加等もなされておりますので、可能な限り追加・修正しました。
 大学での実験・実習は、生きた動物・植物・微生物等に直接接しなければ、生命の本質の研究が進まない部分がありますので、現段階では、全てを他の方法での代替えはできない状態であることをまず理解して下さい。全ての生命の倫理を常に認識しながら、合理的で無駄のない実験計画に基づき、指導者の指示に従い、動物等を丁寧に扱い、実験・実習に取り組んで下さい。
 同時に、実験には思いもよらない実験者自身への危険性もあります。この手引書には、必要最低限の留意項目しか書いてありませんので、どうか各自が常に安全性に留意し、事故の無いように気をつけて下さい。学生は、やがて各研究室に所属することとなり、さらに高度な実験研究を開始することになりますが、その段階では各研究室の教員(教官)の指導に従って、事故のないように安全性にはさらに留意し、有意義な実験研究を進めて下さい。
 今回の見直しに当たっては、農学部安全管理委員会委員以外の宮崎大学フロンティア科学実験総合センターの越本知大先生、片山哲郎先生にも分担執筆いただきました。なお、準備・検討に要する時間的制約があり、実験・実習にかかわっておられる全教官からの原稿を収集したものではありません。従いまして、未だ不完全な点が多々あると思われますので、今後、少しずつ追加・修正等を繰り返し、より充実したものにしていきたいと思います。

                            2005年1月
                                 宮崎大学農学部安全管理委員会





     T. 生物実験実習における動物と人間の安全のために


 長い歴史の中で、人間にとって動物は、恐ろしい敵であり、同時に頼もしい仲間であり、時には貴重な食物でもあったが、少なくともある種の威厳をもった存在であった。しかし現在、実験に使われている動物は、人間のために最大限に利用される道具となった感があり、種の存続に不可欠な繁殖さえも人間の手に委ねられ、奇形の動物が量産されている。
 このような圧倒的に人間が優位に立った状況の中で、科学の発展が目的としても、動物実験を絶対悪とするもの、必要悪とするもの、当然視するものなど、意見はさまざまである。そのため、種々の法律等がつくられているが、まず動物実験を行う科学者自身が動物実験、実験動物をどのように位置づけるかが問われるべきである。この考えなしに、広い意味での動物実験の安全性は得られない。
 実際の動物実験操作を安全に遂行するためには、動物に対する十分な知識と技術が求められる。動物を飼うための環境、飼料、管理方法、かかり易い病気、性格、特性、解剖、生理、保定法、麻酔法など、多くの知識が必要である。また、人獣(畜) 共通の感染症も多くのものが知られていることから、実験者自身の健康・安全にも十分留意して、実験・実習は遂行されなければならない。





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